2012年12月7日金曜日

高橋アキさんの「ハイパービートルズ」

(ジョン・ケージと高橋アキさん)

2012年12月2日 九州大学大橋キャンパス多次元ホールで高橋アキさんのピアノコンサートがありました。
このコンサートは、第三回筥崎千年現代音楽祭2012「ジョン・ケージの100年」というイベントの中の一つのコンサートです。



この日の演目は、ハイパー・ビートルズ!
これは、高橋アキさんが企画した、現代の作曲家たちにビートルズを自由にアレンジしてもらってCDをつくるというプロジェクトから生まれた作品です。
その中から、当日は11人の作曲家たちの曲を演奏されました。

演奏の前に、藤枝守さんと高橋アキさんのトークの時間があって、アキさんの気さくなお人柄とお二人の楽しいトークで、私たちもすっかりリラックスして楽しい時間を過ごしました。

11人の作曲家のビートルズは、それぞれに個性があって、素敵で楽しい作品ばかりでした。
高橋アキさんの音は、本当に美しく、魂に響く音でした。とてもとても繊細で、透明で、かすかな音もホールに響きわたっていました。また、どこからそのエネルギーがやってくるのかと思うほど、ダイナミックで豊かな音が鳴り響きました。アキさんのピアノと、それを心の奥深くで聴いている客席の沈黙が美しい光と美しい影のような、なんとも素敵な空間を創りだしていました。



演奏の中での、私の初めての体験は、ケージの作曲した6台のピアノのための<ビートルズ1962-1970>です。当日は、ピアノが1台しかないので、それ以外の5台のピアノ演奏は、スピーカーから流れてきました。
ビートルズの曲のいくつもの断片が現れては消えてゆく不思議な空間でした。
なんとも、ケージらしい発想です。また、この楽曲の中には、アキさんが数えてみると、なんと27曲ものビートルズの曲の断片が聴き取れたそうです。
武満徹のビートルズもありましたが、聴いた瞬間に武満徹だとわかるほど、本当に彼らしいビートルズでした!

そして、私は、このめったに無いであろう「アルヴィン・ルシエ」の作品を聴くことができたチャンスに感謝します!(笑)
アキさんが弾くルシエのビートルズをその場で録音して、再生するのですが、再生は、ティーポットの中に入れたスピーカーから再生されるのです!!!
そして、アキさんが、時折ティーポットの蓋を開けたり閉めたりするのですが、そのたびに中から、アラジンの不思議なランプから煙が出るように、音がもわわわ〜んと立ち昇るのです。なんだか、タイムスリップしたような不思議な感覚を
味わいました。

現在・過去・未来が平行次元として同時進行しているような、少しの時間のずれで、全てを体験できるような・・・ケージの6台のピアノのビートルズも、ルシエのティーポットから流れてくるビートルズもそんな素敵な時空を奏者と観客とが一緒に体験しているような、とても不思議で感動する瞬間瞬間でした。

そして、この企画を立てられて実行された藤枝守さん作曲のビートルズは、私にとっての一生のテーマのひとつである、植物のメタモルフォーゼのような、みずみずしく、けっして留まることなく変化し続ける、生命力あふれる、素晴らしい曲でした。



このコンサートの一日前、12月1日には、冷泉荘にピアノを運び込んで、ピアノの弦にいろいろとプリペアードして演奏されたジョン・ケージの「ソナタとインターリュード」のコンサートがありました。
とても行きたいコンサートでしたが、仕事が入っていて断念しました。
アキさんが言われていましたが、この時のピアノの調律をされた「ピアノファクトリークジラ」の川内順一郎さんのおかげで、素晴らしい音を体験できたそうです。

(写真はアキさんがピアノにプリペアードしている様子です)

(写真は藤枝さんがカリフォルニア大学サンディエゴ校に
留学中のクラスで学んだ時の「ソナタとインターリュード」の楽譜とメモ書き
*写真搭載の許可をいただいています)

12月2日の調律も、川内さんでしたが、ひとつひとつの音の存在が美しく感じられて、アキさんの奏でるとても繊細な音もダイナミックな音も、弾き手のイメージがそのまま、私たちにつたわって響いてくる素晴らし調律だと思いました。心から気持ちよかったです。
アキさんの音は、本当に繊細で美しかった。演奏もとても素晴らしかったです。
その響きの時空をともにできたことは、私の魂の喜びでした。

演奏するものとして、アキさんのような音の世界、時空を創りだすことを目指して頑張りたいです。神様のような存在ですが。。。
実は、1月14日に、即興演奏のピアニスト、SOSOこと重松壮一郎さんと、東区の箱崎水族館喫茶室でコンサート「雪どけ〜春への祈り」をするのですが、私は、このケージのビートルズを聴いてから、SOSOの即興ピアノで、なにかビートルズの曲を歌ってみたい衝動が沸き上がっています(笑)。

12月8日の明日は、ビートルズのジョンレノンの命日です。
私は、クラッシック馬鹿でしたから(笑)ビートルズをちゃんと聴いたのは、大人になってからです!それも、自分のピアノの生徒さんが教えてくれました。
それから、ビートルズの音楽の世界に感動して、特にジョンの内なる人(ハイヤーセルフ:ジョン自身)には、とても感銘をうけました。
でも、これを話すと、とても長くなりそうなので、また次のエントリーにでも書きたいと思います。「魔女だったジョンレノン?」とかいうタイトルで(爆)

12月23日(土)にはミレミアム・アンサンブル・オブ・ハコザキの旗揚げ公演が箱崎水族館喫茶室であります。19:00開演(18:30開場)です。
これにも、是非伺いたいと思っています。楽しみにしています!

この一連のコンサートは、筥崎千年現代音楽祭というイベントの一環として行われています。詳しく知りたい方は、Facebookに「筥崎千年現代音楽祭」のコミュニティがありますので御覧ください。

そして、是非、1月14日(祝・月)の私たちのコンサート「雪どけ〜春への祈り」にも、足をお運びください(笑)ただいま予約絶賛受付中です!




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